インタビューを通じ、大潟村あきたこまち生産者協会のお米やパスタを選んだ理由、おすすめの調理法などを紹介します。
ホーム > プロの料理人が選ぶ理由 > 手間暇かけた本当においしいものを「旬菜魚 いなだ」様
2022.5.30
新鮮な海鮮丼をはじめ、テレビ東京「孤独のグルメ」でも紹介され話題となった「ぶりの照焼き」など、ボリュームのある和、洋の定食で人気のいなだ様。
店名の由来や弊社のお米を扱うようになったきっかけの他、一風変わったお店の内装にはとても思い入れがあるそうで、ご家庭でブリを扱う上でのワンポイントとともにご紹介します。
-店名である「いなだ」の由来やお店を始められた背景、エピソード等を教えてください。
実はこのお店、私の姉のうちなんですよ。今は2階に住んでいますが、姉は昔、小さな定食屋さんをやっていて、それをやめたいって言うので私が借りるようになりました。
そのお店の名前が、漢字で『稲田』でした。姉の旦那さんの実家が小田急線の駅にもある登戸、稲田堤の出身で店名を稲田にしたそうです。
それで改めて店名をどうしようかなと考えたんですが、ここら辺は古くからある下町ですから、商店街に新しい人が馴染むにはなかなか難しいところがある。じゃあいっそ、姉の稲田を借りちゃうか?と。
ただ漢字だと、ちょっと高級な料理屋さんになっちゃうから、ひらがなで『いなだ』という名前にしました。この『いなだ』っていうのは、お店でも扱っている出世魚の名前なんですよ。ワカシ→イナダ(関西ではハマチ)→ワラサ→ブリになるので、まだブリまでいかないヒヨッコなんです。そういう意味で「うん、これはいいや!」と思って『いなだ』にしました。
うちの箸袋にね、マンボウの絵が描いてあるんですよ。箸袋にも何か入れたいなと思ったんですが、普通のイナダの写真だと細長くて形が良くない。どうしようかと思ってテレビを見ていたら、コマーシャルでマンボウがゆっくりと泳ぐ映像が流れて、「あ、これだ!」と思いました。落ち着いてゆっくり食べられるお店にしたいなぁと思って、のろのろ泳ぐようなマンボウの絵を考えてうちの箸袋に入れました。
-なるほど、店名とマンボウにはそんな由来があったんですね。海鮮や和食、洋食と幅広いメニューとボリュームが話題ですが、お店を続ける上で大事にしていることを教えてください。
平成3年にここのお店を始めたんですが、その頃はまだこの商店街は全体的に価格が安かった。ラーメンが200円や250円の時代です。そういうお店がいっぱいありました。
私はこのお店をやる前に懐石料理屋さんで修業したので、どうしても高いものをやりたくなっちゃう(笑)
でもそういう土地柄で、最初の頃は安くてボリュームがあるものをやっていました。だんだんお客さんがついてきて忙しくなり過ぎたのもあって、もうちょっと良い食材を使って、違う客層に来てもらおうかなと思いました。それで、今の形にお店を改装した時からガラッとイメチェンしています。ガラッとチェンジしないとメニューって変えられないもんですから。
例えば誰かと食事に行く場合、俺は魚が食いたい、俺は肉が食いたいとかそれぞれ好みがあると思います。それじゃあ海のものとか山のものとか、和食、洋食、そういうものを入れようと思ってメニューを作りました。ただ、メインは大体70~80%以上がお魚です。
私が修行していたお店は、当時マネージャー兼いろんな事をやれる人を募集していて、たまたま「こういうお店があるんだけど、自分の店を持ちたいなら幅広いメニュー構成を覚えたほうがいいんじゃない?」って知人が紹介してくれました。
そこもマネージャーとして私が初めて立ち上げたお店で、その時にお米はどうしよう?あれはどうしよう?と検討する中で、あきたこまちと出会いました。
その当時は平成元年の…ちょっと前かな?小渕さんの「新しい元号は平成であります」ってやつをお店のテレビで観ていました。そこに10年くらい勤めてから、この店を始めました。
あきたこまちのご飯がおいしかったから、新しいお店でもまた取引させてもらおうと思いました。うちには「うちのを試してくださいって」いっぱいお米屋さんが来るけど、そこからずっとあきたこまちなんですよ。
-お米へのこだわりや、弊社のお米を使って頂いている理由を教えてください。
前の懐石料理屋さんでは、真っ白いご飯じゃない炊き込みご飯を担当していました。深川めしとかあさりご飯、まつたけご飯とか季節によって変えていましたが、あきたこまちはどの食材にもバッチリ合うんですよ。
親方があきたこまちのおいしさを知っていたから決めたというか、炊き込みご飯はおかずがなくてもご飯だけで食べられるのでお米は大事です。
-丼ものと定食…白飯でも炊き方が違うとか、お米の炊き方にポイント等があれば教えてください。
うちにはいろんなメニュー、例えばカレーもあるんですよ。このカレーは、私が20歳前に新宿の中村屋さんで料理長をやっていた親戚のお店にバイトに行って覚えたんですけど、今もカレーは人気があります。もうメニューから外せない一品です。
カレーのご飯は、普通の定食のご飯と違った炊き方にするのが理想ですが、そこまではやってられないから、何にでも合うような水加減でやっています。海鮮丼とか定食のご飯に合うように、少し硬めかな。
ここのところ、テレビとかネットの影響で20代30代と若い方が増えつつあります。うちのターゲットは年代が上の人…(笑)なんだけどね。これからも増えると思いますが、若い人は軟らかいご飯をあんまり好まないということもあり、ちょっと硬めにしています。
お米も8月近くなるとだんだん新米とは水加減が違ってきちゃうので、その都度、水加減は変えています。ちょっと時間を置くとか、火をつけて炊く前には必ず良く混ぜるとか、そんなことをやっています。
お米を炊く分量は、2升釜で今日あたりは1回目が1.8升、2回目が1.6升かな?難しいですよね。ご飯が間に合わないで、急炊きする場合が一番困ります。
-ぶりの照焼きやカニクリームコロッケ等が人気のようですが、ぶりの照焼きを家庭でおいしくできるようなコツがあれば教えてください。
お店では自分で切身にしていますが、家庭の場合は魚屋さんから買ってきた時点でぶりのうまいまずいが変わるわけです。よくパートさんが「なんでスーパーで買ってきたのと味が違うんだろう?!」って言いますが、私は知らんってそんなの(笑)。
ただ、塩焼きにしても照焼きにしても、塩を振ってからちょっと置くと良いですね。お魚の水分が塩で浮き出てきますから、それをちょっとペーパーで拭いてあげてから焼くようにすると良い。
照焼きの場合は、あんまり長くつけちゃうとぶり自体がおいしくなくなっちゃいます。ツケダレの場合は、だいたい10分ぐらい漬けて置いてから焼く。
家庭ではフライパンかガス台で焼くから、なるべく身の厚いものは買わないことですね。切り身が厚いとなかなか焼けないじゃないですか(笑)。
-外装や内装がヨーロッパ風になっていますが、こちらもご主人が考えられたのですか?
もう亡くなった私の友達の内装屋さんにお願いしました。北海道の石原裕次郎記念館の独特な柱を作るような、特殊な技術を持った人です。
このお店を改装する前は、1日100人くらいのお客さんが来ていて、もうくたびれてくたびれて(笑)。だからもうちょっと、私とパートとかバイトの子、1人ぐらいでこぢんまりやりたいなと思ってその友達に相談しました。初めは簡単な改装を考えていたんですよ。ここで作業している時にたまたま「親方、仕事上がりました」って、2年間テーマパークでやっていた若いお弟子さんたちが3人ばかり挨拶に来たんです。
-そう言われると、某冒険アトラクションの雰囲気ですね?
お店の感じがなんか似てるんだって?(笑)それでその時に、お弟子さんたちの腕試しとして「お金の事はどうでもいいから、好きなようにやらしてくんねえかな」って言われました。何すんだよ!?って(笑)。
ヨーロッパのハイウェーにポツンとあるような、カフェとか喫茶店みたいところの写真をいっぱい見せてくれて、こういうような作りの、こんな感じでやりたいって言われたので、お金かけないならいいよって言ったの。お金ないからって(笑)。すごかったですよ、これ作った時は。職人さんが毎日食べに来てくれました。
-レンガとかおしゃれですよね。
このカウンターも良いもので、イタリアとかの古民家を解体する時に、こういうアンティークの使えるものを全部取っておいて船で持ってきたり、友達はそういう商売もしていました。ステンドグラスとかそういうのを、全部コンテナに積んで持ってきた。だからほとんど日本のものは使ってないですよ。「ココの親父は道楽もんだ」って言われました(笑)。私は一銭もお金はかけてないんだけど(笑)
その後ろのステンドグラスだって、日本のじゃないですから。古いんですよ。壁は漆喰で、レンガに見えるのはモルタルなんです。モルタルを塗ってレンガみたいに筋をつけて、その後に絵描きがレンガ風に仕上げています。
-へえ~!これはレンガだと思ってしまいますね。
この辺はみんな「釿(ちょうな:木工に用いられるクワのような形のカンナ)」で削ってある。釿を使うような大工さんはなかなかいないんですよ。すごい職人を抱えているような人でね、これなんかも友達が2日で作っちゃった。
これも同じで、モルタル塗って古い原木を写真で見ながら、こうやって節目をつけたりして。
-本当に木じゃないんですね。お客様は、絶対に木だと思っていますよ(笑)
プロがびっくりするぐらい。これだけのお店を作れるような職人さん、友達くらいなんじゃないかな。
ヨーロッパとかの写真を見ながら作ったんですよ。友達自身も向こうに行って2ヶ月ぐらいレンタカーなんかで旅をしながら写真を撮っていました。友達のうちに行くと、4畳半に一面ビデオテープ!映画でも何でも、街中の家とかを見るために、すごい勉強家でした。
=インタビュアー実食!=
ぶりの照焼き定食と、海鮮丼を注文。※インタビュアー2名
お米はちょうど良い、大好きな硬さ(若者ぶる)。
海鮮丼のこんなに分厚いぶりを食べたのは初めてだ。やはり家で食べるぶりは薄い…(笑)
マグロもとても新鮮!魚介類は店主様の住まいが近いことから川崎市の北部市場、豊洲市場でも仕入れるそう。お米、うまいなあ。(自画自賛)
小鉢のたけのこもおいしい。お店ではぬか漬けも作られていて、炒りぬかを使ってアク抜きしているそう。ふきも歯ごたえがあっておいしい。
ちなみに秋田にも傘のように大きい「秋田蕗(茎が1.3~2mの長さで直径3~6cm、葉っぱが1~1.5m幅)」という郷土野菜がある。
手間暇かけて本当においしいものを出さないと、お店は20年、30年と長続きしない、と語る店主様。出汁のきいた卵焼きも毎日お店で焼いているそう。
おいしくいただきました!
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