インタビューを通じ、大潟村あきたこまち生産者協会のお米やパスタを選んだ理由、おすすめの調理法などを紹介します。
ホーム > プロの料理人が選ぶ理由 > 人と旬に寄り添い半世紀。ほっこりあたたかいおもてなし。「季節料理 中むら円」様
2023.7.10
日本大学にも程近い市ヶ谷駅から徒歩3分の場所にある、店先にいつも「きりたんぽ」ののぼりが揺れているお店「季節料理 中むら円」様。
店主の中村吉孝様は季節折々のさまざまな食材と向き合っては、お客様に喜んで頂くためにどう料理しよう、とイメージを描きます。おいしい魚とごはんへのこだわりを教えて頂きました。
-昭和43年に創業されたとのことですが、お店の背景やエピソードをお教えください。
創業時から、おかみさん(奥様)と2人でやっています。その当時からうちはほとんど変わっていないんだけども、魚や食材をその時々、季節の旬の、新鮮なものに変えていく。
そういった努力はしているんですけどね。なかなか思うようにいかなくてね(笑)
店を始めたのは25歳頃だったかなぁ。私はどこか外に修行に行っていたわけではなくて、このお店に元々いた板前さんに調理を教えてもらったんです。それから徐々に私がメインでやるようになっていきました。
-創業時と現在では、お店周辺の雰囲気はだいぶ変わりましたか?
街の雰囲気は全く変わりましたね。この辺りはだいたい二階建ての建物がほとんどでしたが、現在はビルばかりですよ。ビルじゃないのはうちと、お隣と、その向こうくらいです。あとはもう全部ビル。
昔は見晴らしも良くて、富士山が見えたくらいだったものね。だから富士見ヶ丘のような地名がある場所は「富士山が見えるから」そういう名前がついたらしいよね。
本当にこの50年でとても変わりました。そういえば昔は都電(※)も走っていたんだってねぇ。
(※都電:現在は「さくらトラム」の名で荒川線1路線を残すのみとなっている都電ですが、昭和20~30年代の全盛期には広大な路線網を都内中に張り巡らせていたようです。市ヶ谷周辺だけでも4路線が乗り入れていたとされています。)
-50年以上お店を続けている中で譲れないこだわりをお教えください。
それはねぇ…ママ(おかみさん)に訊いて(笑)
いや、やっぱりお客さんを大事にしなきゃ。うちのお客さんは若い人よりも年配の人が多いんです。創業の頃からの常連さんだとかね。それから、お客さんにおいしいものを提供するために、できる限りのことをさせてもらっているかな。
日本酒は秋田からも取り寄せています。(なかでも新政は選ばれたお得意様のお店にのみ卸されているお酒だそうで、なかなかお目にかかれないとか!)
秋田、山形、新潟等の地酒がずらり。珍しいお酒も楽しめる。
-豊富なメニューをリーズナブルな価格でご提供されていますが、食材選び等にどのような工夫をされているのでしょうか。
食材選びは、自分で豊洲市場へ行ってみたりスーパーに行ってみたりして目新しいものを見るようにしています。
それから新潟県の糸魚川市から2週間に一度、魚を取り寄せているんだけれど、これが何が来るのかは届いてみないと分からないんだ。すごいよね?(笑)魚が届いたら「さて、これをどう調理しようかな」という感じで、その時々でメニューが変わるんですよ。
なぜ糸魚川市から魚を取り寄せているかと言うと、糸魚川からの招待があって市場を見に行ったことがあったから、その縁でうちは糸魚川の伝兵水産さんに魚を頼むようになった。それからコロナが始まる前だったから、3~4年前に下北沢で糸魚川市のイベントをやっていたんですよ。そこで初めて魚を送ってくれる人たちに直接会ったんだよね。
メニューは店主様の仕入れとアイディア次第。何が並ぶかお楽しみ。
-お客様にとっては「今日はどんな料理が出てくるのかな?」という楽しみになりますね!どのようなお魚が届きますか?
先日届いたのはメジナ(あまり魚屋に並ぶことはないようですが、とてもおいしい魚だそう。)とイシモチ(シログチとも呼ばれる白身魚で上品な味わいが特徴。)と、スケソウダラ。それとアジ。それもこんなにでっかいアジ!!(※)それはもう刺身にするしかなかったね(笑)
あん肝(アンコウの肝。海のフォアグラと言われる珍味です。)が来た時は「オイオイどうするの!?」と思った(笑)
(※「でっかいアジ」:一般的なアジは20~25cm程度。届いたものはなんと40cm程あったとか。)
-あん肝「だけ」が届いたんですか?(笑)
そう!あん肝だけ調理するしかないんだよ。アンコウの身も一緒なら、鍋にできるんだけどさ!(笑)
他にドロエビ(トゲクロザコエビの別名。山陰や新潟周辺ではドロエビと呼ばれるそうです。)が届いていたかな。それは新潟で採れる赤エビのような、おいしいエビだね。
産地直送の地魚はさまざま。どんな魚でもおいしく提供できる、この道50年の店主・中村吉孝様。
-豊洲には店長様が自ら行かれるのですか?
私の他には行く人がいないんですよ(笑)おかみさんは行かないからね。
もう歳だし豊洲は遠いから、毎日は行けないけれど週一は行っています。
市場でどういった食材を仕入れるかは、その時次第だね。一応、イメージは頭に描いてから行くけれど、やっぱり実際に行った時に目新しいものがあれば、それを仕入れる。こちらの予算の都合もあるけれど、高いものさえ買えば良いってわけではないから。
…それにしても今、物価が上がっていろんなものが高くなっちゃってるね。シラスだって、今まで1kgを2,000円ぐらいで買えていたのが、今は3,000円とか3,500円とかですからね。卵も高くなったよね。でも卵焼きは自分でやった方が安くできるし、ふっくら作れるからおいしいよ。だしも全部自分で取っているからね。
おすすめを訊かれたら、全部がおすすめになっちゃう。
糸魚川から取り寄せたものと豊洲で仕入れたもの、それが今週のすすめという形になるんですけどね。季節によっておいしいものがあれば、それを使って調理するんだよ。調理方法を変えてみたりしながらね。
-弊社のお米を20年以上も使って頂いている理由をお教えください。
今、仕込み中なんだけれど、ごはんの良いにおいがするでしょ?お客さんからも「お米がうまい」と言われるんです。あきたこまち協会の大潟村産あきたこまちにしてから、お客さんから好評だから使っています。
別のお米屋さんで頼むと、ブレンドされたお米になっちゃうような感じがして。お米のことは、もうお米屋さんが送ってくるものにお任せですから、あきたこまち協会の大潟村産あきたこまちを私は信用して使っています。
お話を伺ったのは仕込み中で、店内には大潟村産あきたこまちのいい香りが。
-お米の炊き方のポイントをお教えください。
うちはガス釜で、大体20分から25分ぐらいで炊き上がるんだけど、釜の調子を見つつ時間を調整しながら5kgを一度に炊いています。
お米は30分以上浸して、それから炊くのがいいと思うね。私はだいたい一時間ぐらい浸漬します。
例えばアクセントに米油をちょっと入れると、香りが違ってくるんだよ。
あきたこまちなら(じゅうぶんに香りがいいので)入れなくても良いと思うけれどね(笑)
-きりたんぽ鍋を出しているお店は珍しいですね。
きりたんぽ鍋は、秋田県の大館市から直接取り寄せています。
ただ、せりだけは鮮度を重視して、取り寄せずにこちらで代わりの三つ葉を用意しています。季節によって三つ葉以外も使うこともあるけれど、他の食材は常に同じものを取り寄せているね。
なかなかよそのお店で見ないですよね。うちはきりたんぽ鍋を年中やっています。
暑いときに私はやりたくないんだけれどさ…(笑)暑いのに本当にきりたんぽ鍋を食べるの?ってお客さんに訊くと「いやいや、暑いからこそ、きりたんぽ鍋を食べるんだよ」って。お客さんがこう言うからには、はいはいって作るしかないよね(笑)
「やっぱりお客様が第一」だとはにかむ店主様おすすめのきりたんぽ鍋。夏に熱々の鍋を食べたくなるのも納得。
=インタビュアー実食!=
秋田県や新潟県の珍しいお酒や、きりたんぽ鍋等のお料理を通年ご提供しており、様々なお客様のニーズに合わせた料理をご提案している人気店の中むら円様。
刺身定食を頂きました。
お刺身(マグロ、ブリ、ホタテ、ヒラメ)
マグロは肉厚で脂がのっておりとても食べ応えがありました。ブリは身が引き締まり口の中でとろけるような味わいで、ごはんとの相性抜群。ホタテは甘みがありプリっとした食感でおいしかったです。ヒラメは一度昆布〆しており淡泊な味わいの中にも旨味がありあっさりしていて付け合わせのワサビと良く合いました。
どのお刺身も大潟村産あきたこまちと抜群の相性でごはんが進みました!
お米は一時間浸漬してからガス釜で丁寧に炊き上げられていて、お米の絶妙な硬さとほんのり甘みを感じられ、あきたこまち本来の味を味わうことができます。
取材を終えた帰り際に、お土産におにぎりを頂きました…!
具は明太子と鮭。お漬物まで添えられています。感激です!!!!
定食を食べてお腹いっぱいだったのに、支店に戻ってすぐ食べてしまいました(笑)あきたこまちは冷めてもおいしいので、おにぎりも最後の一口までおいしく頂きました!こうしたあたたかな心遣いも50年以上もお客様に愛されている理由だと思います。
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